初級から話せる学生の秘密
こんにちは!
ご無沙汰しております、やっちゃんです。
実は7月は非常勤ではじめて英語圏の学生さんの読解授業を担当したため、非常に忙しくblog更新が滞っていました、、、
しかし、そこで学んだものをシェアしていきます。
“はなせる“学生
実は担当した大学三年生の彼らはほとんど副専攻での日本語にもかかわらず、うまかったのです。
「日本語が上手い」と思う学習者の方って
何が上手いですか?
話したとき、
スモールトークや文の繋ぎ、相づちが上手い!と思いました。
書く宿題を出したとき、
文の繋ぎ、ストーリーが上手い!と思いました。
これができないと運用能力が実際の知識より低く見えたりするのではないでしょうか。
接続詞、接続助詞(会話の時は特にオープニング、クロージング、相づちも)
これが出来ない学生さん、たくさん見て来ました。(まだぺーぺーだけど)
きっとインドネシア語、ケラビット語を使っている私もそんな感じ。
でも彼らは
「週末なにをしましたか?」という質問に
「○○へ行きました。楽しかったです」
で終わることなく
「その時~」
「でも、~」
「そしたら~~」
こちらが聞く前にどんどん続きをはなしてくれました。
作文でも単文を繰り返すだけでなく、きちんと理論立てて接続詞を使い、書いてくれました。
後日担当の先生とおはなしする機会があり、「何故文があんなにかけるのか」
お話を聞いたとき納得したことをシェアします。
初級は自己紹介の連続
どんな言語も初めのレッスンは
「私は○○人です/学生です」
「私の家族は~/趣味は~」
から始まりませんか?
コピュラ文だから、というのもあるかもしれませんが、自分のことを話すというタスクが圧倒的に多いです。
話せる彼らははじめの頃は徹底的に自分のことについて話していたそうです。
自分、家族、友達の紹介
国、趣味、年、得意、苦手、
科目、スポーツ、夢など…
話して、書いて、発表を繰り返すそうです。
でも実際の会話は、いきなり本題から始まりませんよね。
だめな会話の例
A:「あなたのお名前は?」
B:「Bです。」
A:「はい。...。」
B:「...。」
挨拶も相づちも質問返しもないような質問と答えだけの練習は、こんなだめな会話を引き起こしかねません。
文法項目(○○の名前は××です。/AはBです)が理解できて、練習できても、実際に使う場面では相手によって様々なはじめ方、返し方があり、それを練習しなければ“上手く“話せるようにならないというのです!
そこで、教室ではなす練習をする際には、
たくさんの学生と話すロールプレイ
をさせていたそうです。
続いてロールプレイについて話します。
会話ロールプレイ
会話のロールプレイをさせるとき、
朝、授業の前に学校で友達とひさしぶりに会って近況報告したあとで、ご飯に誘う。
というコンテクストを与えるんだそう。
それで、学生たちはまず
おはよう!ひさしぶりー!元気でしたか?
から会話を始めます。
オープニングが終わるところで
ところで、 そういえばさ、
と、本題に入ります。
そして約束しているとき、先生が
「みなさーん、授業の時間ですよー!」
と、声をかけると、
あ、授業が始まるから行かなくちゃ
またね!
とクロージングまでの一通りの会話ができるんだそうです。
実際の会話に応用出来るようになるには、そのための練習がやはり必要です。
特に現地では日本語ではなす機会のない人達だと、これをしているかしていないかでものすごい差になっていると思います。
実はこの会話練習、オープニングからクロージング間での流れを練習する目的ともう一つ、非常に大切な目的があるのです。
それは、相手の反応に合わせて、自分の習った表現で会話を繋げること。
このことをあの先生は言語のコーチとよんでいました。
日本語教師は日本語コーチ
日本語教育をテニスに例えて、学校を試合のための練習と言います。
素振りは家でやってくる
学校では、先生がいろいろなところに打った球を、素振りしたとおりのフォームで打ち返す。
同じ先生だと同じパターンになるので、今度はクラスメイトと打ち合うことで、いろいろな人の返しに対応できるようになる。
という話でした。
つまり、
言葉や文法は家で覚えてくる(素振り)
学校では会話(先生の球を打ち返す)
クラスメイトとも会話(いろんな人の反応に対応する)
そうすると、どんな返事をされても会話が続けられる(どこに球がきても対応できる)ようになる。
いろんな形で練習させてあげられるのが良いコーチなんだなと私は思いました。
特に、話せない生徒さんが多い学校は、こういうことをしたらいいのでは?!
と気付いたのと共に
第二言語習得っておもしろいなと感じたやっちゃんでした。